今木清志ブログ

あなたにもあるアイドル力

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シリーズ「あなたにもあるアイドル力」
第3回:“人を元気にする物語”としての『あまちゃん』



■『あまちゃん』に描かれたアイドル力の原点



2013年に放送されたNHK連続テレビ小説『あまちゃん』。
放送終了から10年以上が経つ今も多くの人の心に残るこの物語には、
“アイドル”という存在が、人を楽しく元気にする力をどう育んでいくか──その過程が描かれています。

この連載では、“アイドル力”を「誰もが持っている、周囲を楽しく元気にする力」として定義してきました。
今回は、『あまちゃん』というフィクションの中に描かれたその力──
「人を明るくする存在になっていく」プロセスに注目してみたいと思います。

■「応援したくなる存在」が生むエネルギー



『あまちゃん』の主人公・天野アキは、最初からキラキラした“アイドルらしさ”を持っていたわけではありません。
内気でドジな面もあり、地味に暮らす普通の女の子でした。

けれども、そんなアキの素直さや一生懸命さに心を動かされ、
「応援したい」と思う人たちが、周囲にどんどん現れてきます。
彼女が地元の人たちを少しずつ笑顔にし、元気を生み出していく──

それは、まさにアイドル力=「周囲を楽しく元気にする力」が育っていく過程でした。


■アイドル力は「関係性」のなかで育つ



アキは、自分ひとりの力で輝いたのではなく、
まわりの人に背中を押され、支えられ、励まされながら少しずつ変化していきました。

そうして生まれたのは、“光り輝く存在”ではなく、
身近な誰かを明るくするような、親しみのある力です。

つまりアイドル力とは、「注目される力」ではなく、
「一緒にいるとなんだか元気が出る」ような、関係性の中で育まれる力だということが、
この物語から伝わってきます。


■アイドルになることは、特別になることじゃない



『あまちゃん』は、アキがトップアイドルになる話ではありません。
最終的に彼女が選んだのは、地元に戻って小さなアイドルユニットで活動するという道でした。

それは、派手な成功ではなく、自分の身近な人たちを笑顔にすることを大切にする生き方。
そこには、「アイドル力」──誰もが持っている力で、周囲に元気を届けていく在り方が、しっかりと描かれているように思います。


■“あまちゃん”は、特別じゃない誰かの物語



『あまちゃん』は、特別な才能を描く物語ではありませんでした。
むしろ、「普通の子」が周囲の応援を受け取りながら、少しずつ“まわりを楽しく元気にする存在”へ変わっていく過程を描いています。
視聴者がアキに自分を重ねられたのは、「私にもできるかもしれない」という可能性を感じ取れたからでしょう。


■そして──あなたにも宿るアイドル力



アイドル力とは、ステージに立つかどうかに関わらず、日常の中で誰かを笑顔にする行動そのものです。
友だちの背中をそっと押す、家族を励ます、教室や職場で前向きな空気をつくる──小さな一歩が周囲に波紋を広げていきます。
『あまちゃん』が教えてくれたように、“特別じゃない誰か”が周囲を明るくする力は、あなたにも、私にも、すでに備わっています。
次に笑顔の連鎖を生み出すのは、あなたの中のアイドル力かもしれません。

あなたにもあるアイドル力

■次回予告:「“推される”とはどういうことか?」



次回は、現代社会で広がる“推し活”を切り口に、
「推されること」や「応援すること」が生む力について考えていきます。
その根底にある「共鳴する喜び」とは──?

【こちらの記事もおすすめ!】シリーズ「あなたにもあるアイドル力」  第1回:アイドル力とは何か?

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