シリーズ「あなたにもあるアイドル力」
第7回:歌声がつなぐ希望のバトン
届けたい気持ちが“力”に変わるとき
■あの日、音楽が届いた
震災、豪雨、感染症――。
社会が大きく揺らいだとき、人々の心に届いたのは、
言葉を超えた「歌」でした。
とくに印象的だったのが、
AKB48の「365日の紙飛行機(おうちver.)」と、
乃木坂46の「世界中の隣人よ」。
どちらも、当時の困難な状況のなかで
多くの人の心に希望の灯をともした曲です。
■声を重ねることで生まれる共鳴
AKB48の「365日の紙飛行機(おうちver.)」は、
メンバーがそれぞれ自宅で撮影した映像を
つなぎ合わせた動画でした。
完璧にそろったダンスや華やかな演出があるわけではなく、
それぞれの歌声も、
バラバラで不完全だったかもしれません。
けれど、まっすぐにカメラを見つめるその眼差しや、
それぞれの場所から届けられた歌声は、
「プロとしての完成度」を超えた
“想い”の温度を持っていました。
「届けたい」という純粋な気持ちが、
バラバラな声をひとつにし、
画面越しに確かな共鳴を生んでいたのです。
■「世界中の隣人よ」が投げかけた問い
同じく、乃木坂46がコロナ禍の不安の中で届けた
「世界中の隣人よ」。
この曲は、医療従事者やエッセンシャルワーカー、
そしてすべての“誰かのために”働く人たちへ向けた
感謝と連帯のメッセージでした。
歌詞には、「離れていても、私たちはつながっている」
という祈りのような気持ちが込められています。
声を重ねることで生まれるのは、
単なるハーモニーではありません。
「つながりを信じる力」が、
歌声に込められていました。
■“miso soup”の歌声もまた──
こうした大きなグループの発信とは
比べものにならないほど小さなものでしたが、
私たち西日本短期大学メディア・プロモーション学科の
西短MP学科さくら組も
“希望を届けたい”という想いを、
歌で表現しました。
その第1作が、“miso soup”。
ひとりひとりが別々に撮影した歌唱映像をつなぎ、
「はなれていても、そばにいる」
というメッセージを込めました。
「miso soup」は、文字通り“味噌汁”。
日常生活の象徴とも言えるこの言葉には、
当たり前だった毎日が戻ってくるように──
という祈りも込められていました。
学生たちの等身大の歌声と表情には、
華やかさはなくとも、
心に染み入る強さがありました。
その姿勢そのものに、
アイドル力=誰かの心に希望を届ける力が
宿っていたと感じます。

■歌は、誰かの心に届くためにある
メッセージ性の強い歌やチャリティーソングには、
ときに「押しつけがましさ」を
感じてしまう人もいるかもしれません。
けれど、アイドルたちの歌が人々の心に届いたのは、
“伝えたい相手がいた”からこそ。
誰かを元気づけたい。
誰かの気持ちに寄り添いたい。
そう思って発せられた歌声だからこそ、
受け取る人の心に届くのです。
■おわりに──バトンを受け取るのは、わたしたち
“希望の歌”は、
一度歌われて終わるものではありません。
それを受け取った誰かが、
また次の誰かに「バトン」を渡していく。
その連なりのなかで、
私たちは何度も勇気をもらい、
知らず知らずのうちに支えられてきました。
そして今、もしかしたら、
あなたが次のバトンを手にする番かもしれません。
小さくても、まっすぐな想いが、
人の心に届く力になる──。
それが「アイドル力」の本質なのだと、
私は信じています。
■次回予告:アイドル×自己プロデュース論
──なぜ“キャラ”を持つと人は輝くのか?
「キャラづけ」「ブランディング」「自分らしさ」…。
アイドルたちが磨いてきた“自己プロデュース力”には、
私たちにも役立つヒントが詰まっています。
次回は、あなたの中にある「キャラ」の力を見つめ直してみます。
どうぞお楽しみに。
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